2015年01月02日

力をつける教育から力を使いたくなる教育への質的な転換を

「特別支援教育研究」の12月号時事解流のコーナーに植草学園の佐藤慎二先生が、

「力をつける教育から力を使いたくなる教育への質的な転換を…」

 という記事を書かれていて、佐藤先生の記事、すっごく良かったよね〜という話を何人もの先生としていたところです。



 これって、料理のレシピに例えると分かりやすいのかもしれません。例えば、年末と正月くらい頑張って、朝、速水もこみちくんがMoco'sキッチンでやっていたスペアリブを作ろう!としたとします。普段は作らない料理。でもVTRを一生懸命に見て作ります。一時的には力をつけるのですが、スペアリブは積極的に自分から作ろうとは思わないので、今つけた力やレシピの短期記憶は瞬く間に溶けて消えていってしまいます。

一方で、例えばグッチ裕三さんが、美味しい煮卵の煮方をテレビでやっているとします。

「7分45秒の煮卵を作って、水:醤油:みりん=3:1:1の液に一晩つけるんですよー」

ラーメンを定期的に作る私としては、これは自分から使いたくなるような力であり、上記のグッチさんの番組を見たのはかれこれ6年以上前となるのですが、現在も私の中に色褪せない力として存在しています。
普段、仕事をしている中で「般化」という言葉を使います。特に認知学習の中で取り組んでいたことが、生活の中で使われると「般化した」という意味合いで使われるのをよく聞きますが、この使い方を再考しなければいけないな…と、記事を読んで考えました。

×→一時的に生活の中で表出されたけれども、力が使われずに、すぐに力が溶けてしまうような般化

○→生活の中で自ら使いたい力として形成されて、生活の中で自ら確認表出される力となったという意味での般化

 きっと調べてみれば「般化」自体に心理学用語としての厳密な定義が存在するのだと思うのですが、巷にあふれる偽物の「般化」ではなくて、5年後、10年後も使い続けられる意味での「般化」をしていけるといいな…なんて思いました。

 力をつける教育から、力を自ら使いたくなるような教育への質的な変換。

 とても大切にしていきたいな…とこの一ヶ月、ずっとずっと考えていました。

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2014年12月31日

「できる環境づくり」と点つなぎの手前の課題」

 小出進先生の「知的障害教育の本質」(ジアース教育新社)を読みながら、「できる環境づくり」という視点から、改めて自分自身の子どもへの接し方を問い直しています。


ー以下引用ー
本人の主体性確保をめざせば、指導の「訓練的側面」よりは、指導の支援的側面を大切にすることになる。「教え、直す」指導よりは、「支える」指導が求められる

ー引用終わりー

 2学期、

「先生、点つなぎは難しいよー」

 と伝えてくれた教え子に

「大丈夫、大丈夫、やればできるよ。」

 と手を添えて線をつなぐという活動を1ヶ月半積み重ねましたが、依然として難しさが残り、

「最初は自分でやってみてよ」

 と言う私に、結局

「あっ、ちがう…」

 と子どもが言われてしまう場面、何度有っただろうか…と猛省しました。
 本人の主体性を支えるような環境づくりとして、点つなぎの教材を作ろうと思い直したのが本写真の教材です。
スライド1.JPGスライド11.JPGスライド15.JPG


 年末、もう一冊本を読みました。
 「世界に1つだけの子育ての教科書」著・奥田健次(ダイヤモンド社)
 です。

 全体的にとても良い本だったのですが(トイレトレーニングの章が目から鱗)、特にそのP87、スモールステップの記述の中のサッカーのペナルティキックがゴールに届かないお子さんにはゴール50センチ前から練習を重ねていくと良い…という一節がストン…と胸に落ちました。

「そうか、自分で蹴ったシュートが届かないなら、ゴールの方に近づいてきてもらえば良いんだ…」

 認知学習の指導に於いては、とかく「できる状態にもっていく」という姿勢になってしまいがちでした。しかし、例えば点結びができないからと言ってその力を付けて、線結びをできるようにするのではなくて、線結びができる状況を作って、その中でめいっぱい自立的・主体的に課題に取り組めるようにしようと思い直しました。
(知的障害教育の本質p27,28を参照しました)

 点つなぎから話がどんどんと膨らんでしまいましたが、主体性を支える「できる環境づくり」。来年も大切に、大切にしていければと改めて思いました。

 プリント教材は以下にリンクしてあります。



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2014年12月28日

人生はいろいろとあって良いんだ…

年末、加藤登紀子さんの「時には昔の話を」をなんども聴きながら、いろいろと振り返っています。

朝のニュース番組で、今年亡くなった淡路恵子さんの人生を振り返るコーナーがありました。その中で、淡路さんが

「人生、何もないよりはね…、色々とあって、その時は大変だけれど、いつかそれがいい思い出になって、死んでいくんだなって。そう思うのよ。そういう歳になってしまったの。」

…と亡くなる前年のテレビで話していらっしゃる姿が流れて、何だか、何度もなんども自分の中でそれを繰り返しています。

人生、思い通りにいかないこと、努力が報われないこと、理不尽な運命に翻弄されてしまうこと…いっぱいあるけれど、いろいろとあっても、その時には大変だけれど、いい思い出に変えていくことができればいいな、そして人生の黄昏の中で、穏やかな気持ちでそれを想えるといいな…なんて思いました。

最近はFacebookばかり更新して、更新を怠っていたブログですが、少しずつでアップしていきます。

posted by 桑ぴょん at 12:13| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月07日

主体性と自主性と第二期教育振興基本計画

 先日、Facebook経由で『「主体性」と「自主性」のちがい』という記事が回ってきました。

−以下、引用−
主体性…様々な状況下においても自分の意志や判断で行動するということ。
自主性…他人からの干渉や保護を受けず、独立してことを行うこと。
−引用終わり−

出典:http://u-note.me/note/47485918

 夏に中教審会長の安西先生の講演にて第二期教育振興基本計画の解説を聴いてきたのですが、その中でも同じような話が出ていました。

 いわれる前にするという人を育てるのではなく、自ら目標を設定し、それに向かって自ら進んで学び、発展させていくような人を育てる。

 「自主性」と「主体性」の言葉の住み分けはとても大切だと改めて感じました。

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2014年12月02日

kintaのブログで紹介していただきました

 kinta先生のブログに載せていただけるなんて、もったいのうございますm(_ _)m

kintanoblog.JPG


 ミスチルの「彩り」という歌のように、僕のした単純作業が、この世界を回り回って、まだ出会ったことのない人の笑い声を作っていくような地道な取り組みを続けていきたいと思います。

 ありがとうございます。励みになります。

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2014年11月24日

DropTalk HD ver2.1の不調と対応策

 iOS8にアップデートさせて、DropTalk HDをver2.1にしたところ辺りからDropTalk HDの調子が悪くなってしまって、その解決策を探ったり、その過程でキャンバスを初期化することを試したりで2週間ほどを費やしました。

 症状と改善策はこんな感じでした。

 iPad3でiOS8.1、DropTalk HD ver2.1の環境下。キャンバス表示で「文章」を押してしまうとキャンバスが消えてしまう。復帰させるにはホームボタンダブルタップでアプリを終了し、縦画面のままアプリを起動、その後横画面に戻すと復帰する。身の回りにある3台のiPadが皆同じ症状。


 


 同じ症状で困っていらっしゃる方がいるかと思いましたので、載せてみました。

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2014年11月23日

「やることやってからっ!」の口癖を変えなきゃ。

小学部1年生の担任をさせていただいています。毎日楽しいことばかりなのですが、日常生活に必要な動作の獲得にやきもきすることも少なくありません。

先週、直さなくては!と思った自分の口癖が

「やることやってからね」

「おーい、まだ途中だよ」

です。

例えば、ゆっくりと時間をかけて靴を履くようなお子さんが、靴を履いているうちに他の友だちが遊んでいるのを見つけて、靴を片方だけ履いた状態でそちらに歩き出す…なんて場面がよくあります。

「やることやってからね」

「おーい、まだ途中だよ」

例えば、遊びの指導の前の時間、外に遊びに行きたくてウズウズしているお子さんが、歯磨きをすっ飛ばして赤白帽子をかぶって待っている…なんて場面でも

「やることやってから」

「おーい、まだ途中だよ」

なんて言います。でも、この「やることやってからね」や「おーい、まだ途中だよ」という言葉、具体的な行動を支持する言葉ではないので、活動の見通しや、日課の文脈が理解できていないとただの抽象的な指示に留まってしまう場合があります。

幾つか、改善の方法がるのかな…と考えています。

⑴ スケジュールを視覚的に提示して、「大丸1大丸1︎が終わったらバツ1バツ1︎だよ」と伝える。
→但し、大丸1大丸1︎が苦手な活動の場合にはこの方法がうまくいかない場合があります。その場合には「頑張ると必ずいいことがある」という習慣の形成が先になってくるかもしれません。短い行程のトークンなどを使って、まずは苦手さの少ない大丸1大丸1︎を設定して、ちょっと苦手なことも頑張って大丸1大丸1︎を得るという経験を積み重ねることが大切になってきます。

⑵気が散らない環境にする
 →もし、ルーチンな活動で、且つパーティションで仕切ることが出来るような環境であれば、環境さえ整えれば学習成果が上がるのかもしれません。ただ、公立の特別支援学校で朝スクールバスから一斉に100人が降りて来るような状況下などではそれができないので、他の選択肢を採る必要があります。

⑶ 言葉かけ自体を具体的な行動を示すものにする

 →これが一番簡単にできるでしょうね。

「やることをやってから」

を    

「くつ」とか「はみがき」とかの具体的な行動を指し示す言葉に置き換えていく。楽しい活動がその後に待っているからねーとポジティブに励ますことを忘れずに。

言葉かけには気をつけるようにしているのですが、自分自身の思いが出てきてしまうとどうしても抽象的な言葉かけになってしまうことがあります。来週は、こんなところに気をつけながら過ごせるといいな…とおもっています。 


posted by 桑ぴょん at 09:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 指導・支援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月22日

今月は2本の雑誌に実践を掲載していただきました

 手前味噌ということで…。

 今月は、10月から編集にも携わらせて頂いている全特連機関誌の「特別支援教育研究」11月号(東洋館出版社)の実践レポートコーナーと「特別支援教育の実践情報」(明治図書)の教材紹介コーナーに実践を掲載していただきました。
 まず、特別支援教育研究の実践レポートの方は「いい実践ができたので…」というものでは決して無くて、ラジオ体操や立位での準備運動ではからだをほぐすことが難しい状況に陥りがちな生徒が、準備運動ができていないまま見過ごされていませんか?という問題提起を込めて、昨年度の中学部での実践を執筆させていただきました。
長い目で見て、からだをほぐす気持ちよさを一生涯感じ続けてくれるような人をどう育てていけるのか?その為に、体育はどうあれるといいのだろうか?そんな視点でご覧いただき、忌憚の無いご意見をいただければ幸いです。
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 二つ目の「特別支援教育の実践情報」の方には、私たちのクラスで使っているお立ち台の教材が掲載されました。担当さんに計らっていただき、フロントページにドーン!と教材が掲載されていてちょっと嬉しいです(^_^)
お立ち台.jpg DSCN8191.JPG


 今回は、特別なアイディアというよりも、見た方が真似できる普段使いの教材を…ということで、「お立ち台」という教材をチョイスしました。

 数年前から「支援の複数感覚化」ということを一つ注意点として教材を作っています。本教材で言えば、「褒められる」ことは子どもにとっては聴覚情報のみで行われることが多いです。「すごいね」「えらい」「やったー」などなど。でも、この褒め言葉が次回の適切な行動の表出を支えているかというと、そこには分析が必要です。褒めことばだけでは子どもの「次も頑張ろう!」を支えきれていない場合がある、ということです。そこで、このお立ち台が子どもの「次も頑張ろう!」を支えてくれます。お立ち台に登る感覚、お立ち台から見える視界、やったーと腕を持たれる感覚。そのそれぞれがプラスの感覚として「褒められる」を複数感覚化してくれます。また、褒められていない時にもこのお立ち台があることによって「頑張ったら、あのお立ち台を使って先生は褒めてくれる」というシグナルを送り続けることができます(こういうのって「シグナリング効果」と言われるようです)材料は古くなった巧技台とダンボール、100円ショップで購入したラメシールのみです。総制作費は500円弱。特学級の先生が真似してくれると嬉しいな…なんて思いながら原稿を書きました。



もし、書店などに行かれた際にはちょっとだけ覗いてみてくださーい(^_^)

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手前味噌…ということで…。
posted by 桑ぴょん at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 指導・支援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月09日

Auti-sim 〜聴覚過敏体験ソフトウェア〜

少し前にFacebook経由で回ってきた情報を載せます。

カナダのソフトウェア会社が作成した自閉症スペクトラム症のある方の聞こえ方を体験するゲームのデモ映像です。聞こえ方はもちろんですが、顔の見分けにくさとか、注意の選択性に拠る周りの見えにくさも再現しようとして作成したのかな?と感じる映像です。

所属校では先日文化祭がありました。必死になって周囲の音がうるさいと訴える子どもの聞こえ方にもっともっと真剣に向き合っていきたいな…と思いながら観ました。

posted by 桑ぴょん at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 指導・支援 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月06日

「他にいいやり方があるよ」と言ってあげられる先生でありたいな

なるべくポジティブに支援をして行けるといいな…とは思っているのですが、ついつい「ダメだよ」と叱って終わりになってしまうことがあり、そういうことがあった日は1日の終わりに

「あの子は叱られただけで次にどうすればいいかを先生から教えてもらえなかったことになっちゃったな…」

と反省します。自分の感情にとらわれてしまうと、子どもが次には適切な方法でコミュニケーションしてくれるための水先案内をするという自分の役割をすっぽかして、自分の感情処理になってしまうと、自分を戒めなければいけないことがたくさんあります。

さて、今日はこんなことがありました。給食で出てきた大豆が入ったきんぴら。固くてボソボソとした食感のお豆が嫌いな教え子(以下Aくん)が自分のお皿から豆を外に弾き出そうと、私の机に直接大豆を置き始めました。

「こらー!何やってんだー︎」

と心ではいち早く叫んだのですが、少し冷静になって次からはどうして欲しいのかを考えました。どうしても食べたくないものがあるときにはどうすればいいでしょうか。先ず必要なのは、

「苦手なんだ…」

と伝えること。そして、お行儀よく取り分けて残すこと…かな…とおもいました。

そこで、私の机に乗せられたお豆をその子のお皿に手際よく返していきました。Aくん

「あ゛〜っ︎」

と怒りをあらわにしたのですが、感情が動いた時こそ、コミュニケーションを教えるチャンスだと思いました。

私:「お豆嫌いなの?」

Aくん:「キライ」

私:「そういう時はこういうんだよ。『せんせー、にがてー』」

Aくん:「せんせー、にがてー」(実際にはこんなにスムーズではなく、幾度かの押し問答が入っていますが(笑))

私:「よくわかったよ。じゃあ、残していいけど、このお皿にだせるかな?そうしてくれたら⑴ごちそうさま⑵ポイッでいいよ。」

こんなやり取りを経て、Aくんは納得して給食を食べられていました。

私の机に直接大豆を乗せていた時点で、

「こらー!なにやってんだ!戻しなさい!拭きなさい!」

というのは簡単ですし、先生の気持ちはスッキリしてしまいます。でもそれじゃ、子どもは叱られただけで何も残らない。

「他にいいやり方があるんだよ」

といつも言ってあげられる先生でありたいな…と思った昨日今日でした。
posted by 桑ぴょん at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 適応行動の拡大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする