2014年11月06日

「他にいいやり方があるよ」と言ってあげられる先生でありたいな

なるべくポジティブに支援をして行けるといいな…とは思っているのですが、ついつい「ダメだよ」と叱って終わりになってしまうことがあり、そういうことがあった日は1日の終わりに

「あの子は叱られただけで次にどうすればいいかを先生から教えてもらえなかったことになっちゃったな…」

と反省します。自分の感情にとらわれてしまうと、子どもが次には適切な方法でコミュニケーションしてくれるための水先案内をするという自分の役割をすっぽかして、自分の感情処理になってしまうと、自分を戒めなければいけないことがたくさんあります。

さて、今日はこんなことがありました。給食で出てきた大豆が入ったきんぴら。固くてボソボソとした食感のお豆が嫌いな教え子(以下Aくん)が自分のお皿から豆を外に弾き出そうと、私の机に直接大豆を置き始めました。

「こらー!何やってんだー︎」

と心ではいち早く叫んだのですが、少し冷静になって次からはどうして欲しいのかを考えました。どうしても食べたくないものがあるときにはどうすればいいでしょうか。先ず必要なのは、

「苦手なんだ…」

と伝えること。そして、お行儀よく取り分けて残すこと…かな…とおもいました。

そこで、私の机に乗せられたお豆をその子のお皿に手際よく返していきました。Aくん

「あ゛〜っ︎」

と怒りをあらわにしたのですが、感情が動いた時こそ、コミュニケーションを教えるチャンスだと思いました。

私:「お豆嫌いなの?」

Aくん:「キライ」

私:「そういう時はこういうんだよ。『せんせー、にがてー』」

Aくん:「せんせー、にがてー」(実際にはこんなにスムーズではなく、幾度かの押し問答が入っていますが(笑))

私:「よくわかったよ。じゃあ、残していいけど、このお皿にだせるかな?そうしてくれたら⑴ごちそうさま⑵ポイッでいいよ。」

こんなやり取りを経て、Aくんは納得して給食を食べられていました。

私の机に直接大豆を乗せていた時点で、

「こらー!なにやってんだ!戻しなさい!拭きなさい!」

というのは簡単ですし、先生の気持ちはスッキリしてしまいます。でもそれじゃ、子どもは叱られただけで何も残らない。

「他にいいやり方があるんだよ」

といつも言ってあげられる先生でありたいな…と思った昨日今日でした。
posted by 桑ぴょん at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 適応行動の拡大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月03日

適切な行動の比率を増やしていくことについて考える2

 さて、昨日の続きです。

(5)細かく、タイミング良く褒めるということ
 適切な行動に変えるだけで、すぐに一件落着になるのかというとそれほど簡単ではありません。適切な行動を出すと、本人も「快」になるし、「こっちのほうがいいや!」と思ってもらう必要があります。

 行動を形成していくときには一つの行動を一つのくくりとして形成していくのではなく、スモールステップに分けて形成していくという方法をとります。例として、「洋服を着る」という行動をとれば…

例:洋服を着るという行動
1.服の前後ろをマークによって見分ける。
2.服をひっくり返す。
3.頭を入れる。
4.右そでを通す。
5.左袖を通す。
6.頭を通す。
7.裾を下す。


 となります。そして、お母さんたちにとって大切なことは、スモールステップに分けてどこまでができていて、どこまでができていないかということの把握だけではないのです。

スモールステップに分けたら、スモールステップに分けた分だけ褒める


 という視点が大切です。スモールステップに分ける必要がある行動というのは、子どもたちにとっては課題レベルにあっている、ないしは課題レベルよりも少しだけ難しい課題に取り組んでいるということになります。なので、一つ一つのスモールステップにしても、強化されるべき行動として存在していますし、それが連なっていって初めて一つの行動が形成されていきます。行動を一回一回「止めて」褒める必要まではありません。例えば、

例:洋服を着るという行動を褒める
1.服の前後ろをマークによって見分ける。→そうそう。そこだね!
2.服をひっくり返す。→よしっ、できた。
3.頭を入れる。→そうだ、そうそう!
4.右そでを通す。→いいぞ、いいぞ!
5.左袖を通す。→そう!
6.頭を通す。→よしっ、もう少し!
7.裾を下す。→やったー!


 …ちょっと松岡修造やムツゴロウさんを彷彿とさせますが…(笑)でも、タイミングよく適宜褒めるということを通して、子どもたちは一層速いスピードで行動を形成していってくれます。褒め上手は行動形成上手です。

 以上、2回のエントリに分けて考えてきた「適応行動の拡大」ですが、

@増やしたい行動は上手に適宜褒める。

A減らしたい行動は無視をして、適切な方法に変える。その時には細かく褒める。

B許しがたい行動は本人が望んでいる結果と反対側の結果を上手に提示する(ペナルティというと、少し語弊があるような感じがしますが…)


 という取り組みによって、前回のエントリでリンクしたワークシートに書き出した行動(行動の総量)のうちの減らしたい行動・許しがたい行動の比率がだんだんと減り、増やしたい行動が適切な行動として形成されるということにつながっていくのではないかということについてでした。

 
にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
クリックが「読みました」の「匿名玉入れ」みたいになっています。よろしければご一読後にクリックしていただけると(1回/dayが上限です)次回への更新意欲につながりますm(_ _)m
posted by 桑ぴょん at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 適応行動の拡大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月02日

適切な行動の比率を増やしていくことについて考える1

 先週一週間はkintaのブログさんで拝見した「適応行動の拡大」「実は人の行動の総量はある程度決まっている」ということばが頭の中をぐるぐると回った一週間でした。そこで「ADHDのペアレントトレーニング」著:シンシア・ウイッタム 明石書店 2002を読み返したという所までは前回のエントリでお伝えをしましたが、今回はその続きです。

(1)一日の主要な行動を書き出す
 「実は人の行動の総量はある程度決まっている」ということばを考える時に、「じゃあ、それが本当かどうかを論文で引っ張ってきて、人の行動は一日何回で、それに関係する内省の回数が何回で…」という風に調べるのは科学的なのかもしれませんが、当ブログは基本的にはお母さん達向けですのでそれは避けて、一日の主要な行動を書き出してみるという所から「実は人の行動の総量はある程度決まっている」を考えてみたいと思います。お子さんのことを思い浮かべて、朝起きた所から夜就寝するまで。で、「息をする」とか「瞬きをする」とかまでを「行動」に含めてしまうととっても大変になってしまうので、書き出す「行動」の範囲を決めていきましょう。

(2)増やしたい行動・減らしたい行動・許し難い行動に分ける
 今回は「行動を書き出す」という行為の最終的な目標が「適切な行動の比率を増やしていくということ」ですので、@適切な行動とA不適切な行動とBすごく不適切な行動に分けて行動を書き出していきましょう。さらに「適切」「不適切」ということばは難しいので「増やしたい行動」「減らしたい行動」「許し難い行動」としていきましょう。Wordのフォーマットを以下からダウンロードできるようにしておきますね↓

適応行動を増やす.jpg



−参考文献:「ADHDのペアレントトレーニング」著:シンシア・ウイッタム 明石書店 2002−


(3)褒めるということ
 増やしたい行動については意図的に褒めていくことが大切です。「そんなの当たり前だよ」と思うかもしれませんが、それがなかなかそうでもないんです。例えば以下のような行動を褒めていますか?

○ あいさつをする。
○ ご飯を残さずに食べる。
○ 手を洗う。
○ 歯を磨くときにじっとしていられる。
○ 靴のかかとを入れて歩いている。


…などなど。(詳しくは「ADHDのペアレントトレーニング」P28を参照)

 なかなか自分であいさつができるようにならないとか、好き嫌いが激しくて困るとか、手を洗うことが習慣付かないとか、歯をしっかり磨けないとか…は小学部の教員をしているとよく受けるご相談ですが、対象の行動をタイミング良く褒めることができているかというと実のところそうではない。むしろ「できていて当たり前」と大人側が暗示にかかってしまっている部分があるので、褒めることを取り逃がしている。結果、行動が増えていかない。強引なくらいに褒めていく、周りから見ればちょっと白々しい位に褒めていくことなくしては「何が適切な行動なのか」というメッセージが子どもに伝わっていきません。

(4)不適切な行動を適切な行動に入れ替えてすかさず褒めるということ
 一方で不適切な行動への対応です。「ADHDのペアレントトレーニング」の中では不適切な行動は無視して下さい。とされています。この無視についての「ADHDのペアレントトレーニング」の記述が秀逸なので、以下多少の解釈を加えながら紹介していきます。

 「行動」をバス停に立ってバスを待つことに例えてみましょう。目当てのバスが遠くからやってくるのが見えます。あなたは「ああ、あのバスに乗ることができる」と思います。しかし、バスはあなたを乗せることなく通り過ぎていこうとしています。あなたはバスを止めようといろいろなことをします。

○バスに向かって大声を上げる。
○バスを叩く。
○バスの前に立ちふさがる。
○バスに石を投げる。


…等々。

 「バス」を「お母さん」に読み替えてみましょう。

○「お母さん」に向かって大声を上げる。
○「お母さん」を叩く。
○「お母さん」の前に立ちふさがる。
○「お母さん」に石を投げる。


 でも、『何をやってもバスは毎回止まらない』。これが無視なのだと。一回でも止まってしまうとダメです。次からも石を投げたり、けっ飛ばしたりしてバスを止めます。お母さんを止めます。

 でもでも、『無視をするのみ』ではダメです(指導場面では『無視をするのみ』に留まってしまっている指導も実はたくさんみかけますが…。)。「今までの方法ではバスが止まらない」ことを分かってもらえた次には『正しい方法でバスを止める方法を教えていく』ことがとっても大切です。言い換えれば『正しい方法でお母さんの気を引く方法』とも言えるでしょうか。

◎ お母さんに「お母さん」と言う。
◎ お母さんの肩をトントンとする。


…などなど。

 減らしたい行動は、適切な方法を教えて、適切な行動に変えていくということが大切です。また許せない行動は本人が欲しい結果は手に入らないようにするということが大切です。

(5)細かく、タイミング良く褒めるということ
 適切な行動に変えるだけで、すぐに一件落着になるのかというとそれほど簡単ではありません。適切な行動を出すと、本人も「快」になるし、「こっちのほうがいいや!」と思ってもらう必要があります。それには「良いタイミングで褒める」ということが必須になってくるのですが、それはまた明日「細かく、タイミング良く褒める」というエントリで考えていきたいと思います。

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ
クリックが「読みました」の「匿名玉入れ」みたいになっています。よろしければご一読後にクリックしていただけると(1回/dayが上限です)次回への更新意欲につながりますm(_ _)m
posted by 桑ぴょん at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 適応行動の拡大 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする