2012年08月19日

「特別支援教育3.0」の時代へ

この夏の自分自身への一番の宿題であったコトラーのマーケティング3.0を読了しました。…というか、幾度か読み直しました。月曜日からは現場に戻りますので、ブログの更新ペースも元に戻っていくと思います。

この本の中では地球単位での経済の動きがテクノロジーや文化、人の情動のダイナミクスの中で如何に変わってきているのかを示すとともに、地球単位での文明の波がどういったベクトルをもって進み始めているのかを示されていました。

 今後、特別支援教育に携わって行くに当たって、現代社会、現代文明をどう読み取って、その中でどのポジショニングで自分自身特別支援教育を行っていくかを考えるとても良い機会でしたので、このエントリの中で纏めていきます。ソーシャルメディア時代における今後の特別支援教育の方向性、名付けて「特別支援教育3.0」です。(マーケティング3.0の説明については→外部リンク)

@先生と保護者の関係をタテの関係からヨコの関係へ
 さて、ブログであったり、twitterであったり、Facebookであったりmixiであったり…ソーシャル・ネットワーク・サービス(以降「SNS」とする)の登場によって、先生と保護者との立ち位置を大きく変えることができるようになってきました。今までの学校の先生と保護者の関係は、連絡帳や面談によって、学校での出来事を伝えることや「この宿題良いですからやって下さい」といったコンテンツの伝達、また逆方向では保護者の方が仕入れてきた支援方法を学校でも取り入れて下さいというコンテンツの逆伝達によって成り立っていました。情報の同じレベルでの共有という面では非常に弱さのあるタテ型の関係とも言える状態、それは時として「どちらかが過多に情報を持っていて、それを押し売りするような状態に発展する危険さを持った関係」でした。
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 そこにSNSというテクノロジーが登場したことによって先生と保護者との関係が大きく変わる機会が得られています。今まで、どちらかが過多な情報を持っていた部分、伝えたくても伝えられなかった部分をブログやtwitterといったSNSを利用することで発信し、お互いに持っている情報をフラットにすることができるようになっています。これによって今まで方法論の押しつけにもなりかねなかった先生と保護者の関係が解消し、時には情報を双方同等の立場でやりとりし合うというインタラクティブ(双方的)な横の関係を作ることができるチャンスが創出されるようになりました。
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A子どものつまづきを捉える上で有効な情報を伝えられるセグメンテーションの変化
 SNSというテクノロジーは、先生が保護者に有効な情報を伝える上でもとても有効ですが、その情報を今までは積極的に届けることができなかった保護者層(セグメント)にお伝えができる可能性も拡がりました。例えば、「先生の話はちょっと難しいから聞けないわ」とか「私、話をするのが苦手だから先生に話しかけられると緊張しちゃう」とか、「先生に支援方法を直接教えられるとあとでしっかりやっているか聞かれそうで嫌だ」とかという保護者の方は少なくないと思います。SNSというテクノロジーによる発信によって、今まで先生にも聞けないけれど困り感は確実にあって、でも何ともならなくて…という状態だった保護者層に、子どものつまづきを探る上での有効な情報が、ガラパゴス携帯やパソコン、最近ではアンドロイド携帯やiPhoneなどより手軽な媒体によって簡単に届けられるようになりました。そのことによって今までピラミッドの底辺にあった(実数としては結構多かった)「困っていても何ともできていなかった層」を、「SNSによって得た情報によって支援方法をあれこれ試しながらも何とかやれていけそうな層」に押し上げられる可能性が出てきているのではないかと思います。
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B支援方法乱立の時代に生じるパラドクス(逆説)を原因となる「つまづき」を捉えるという基本によって解消する

 Evidence Based Education・AAC・PECS・ソーシャルストーリー・SGDs・FC・FCT・聴覚統合訓練・感覚統合療法・ドーマンデラカート法・サーツモデル・発達的対人関係・語用論モデル(DSP)・DIR/フロアタイム・マカトン法・生活療法/武蔵野東学園・定型抗精神病薬・TEACCHプログラム・選択的セロトニン再取り込み阻害剤・対人関係発達指導法(RDI)・グルタミン酸作動製薬・ノルアドレナリン作動性薬・LEAP・ヘイネンプログラム・ロヴァースプログラム・現代型ABAプログラム・ピポタル・レスポンス・トレーニング・DSPモデル・Evidence Based Medicine…

 脳科学の発展、認知科学の発展、行動科学の発展などにより、様々な教育療育・手法・方法が提唱され、様々な尺度から検証が行われています。それら一つ一つは必ずしも同じベクトルを持っている物でもなく、時としてパラドキシカル(逆説的)な物として存在することもあります。学校で起きがちなのは学校が社会性を育てる「関係論」的な立場を強く持っているところに、保護者が療育で持ち帰ってきた、発達の系統性や順序性を大切にする「発達論」的な立場の物を持ち込もうとするというパラドクスです。関係論も発達論も両輪が機能して初めて大きく子どもが育っていくものなのですが、その共通理解が図られないとパラドクスはパラドクスのまま、対立を生む因子として存在し続けてしまいます。その感情の衝突についても「発達論も関係論も両方大切」、「方法論の選択はつまづきの原因を探ってから、子どもに寄り添ってから行うこと」というメッセージをSNSなどによって広くフラットに発信することによってお互いの理解の一助になっていくのではないかと思います。

C全ては子どもの将来の幸せの為に。いきいきとした生活の創出のために
 SNSは方法の共有とともに情動・感情・精神の共有も促します。教員と保護者の持っている情報をフラットなものにし、その先には学習上・生活上の困難を適切な支援によって克服した幸せな未来、いきいきとした生活を、支援が多く必要な子ども(childrens with disability)もそうでない子ども(other childrens)も同じように目指していくという理念への一歩となることを願うことにつながります。

 ソーシャル・メディア、SNSが生みだす新しい特別支援教育の在り方について考えてきました。ソーシャル・メディアが発達し、特別支援教育に携わる先生の中でもソーシャル・メディアを使って情報発信する先生は確実に増えてきています。(もちろん現状は玉石混合ですが)その中において、特別支援教育は経済学と大きく違わずに「3.0」の時代へ突入し始めているでしょう。

@先生と保護者の関係をタテの関係からヨコの関係へ

A子どものつまづきを捉える上で有効な情報を伝えられるセグメンテーションの変化

B支援方法乱立の時代に生じるパラドクス(逆説)を原因となる「つまづき」を捉えるという基本によって解消する

C全ては子どもの将来の幸せの為に。いきいきとした生活の創出のために


 私自身もこれらの一助ができるように、これからもちょっとずつブログの更新をしていくことができればと思います。

 これを受けて、ブログタイトルが
「桑ぴょんの特別支援教育マラソン!!」から「桑ぴょんの特別支援教育マラソン3.0!!!」に変更されます。馬鹿らしいでしょ。でも、馬鹿らしいと思いながらも一歩進める時には一歩進まなくっちゃ!!!

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posted by 桑ぴょん at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 「特別支援教育3.0」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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